あるべき味

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イタリアでインロックの悲劇 その5(完結編)

翌朝ふたたびレンタカーのお店に行き、車を返却した。ガソリンもOK、OK、これですべて終わりというので、延長料金が発生しないのか、ラッキーだったと、そのまま帰ってきた。

 

全部終わったよ!延長料金も請求されなかった!と友人たちに連絡するも、あとから、延長料金が発生しないわけがないじゃないか、とまた暗い気持ちになる。

 

翌日、パスタレッスンのときに日本人の先生に状況を話したら、これから一緒にレンタカー屋さんに行ってくれるという。行ってみたら、書類を出してきて、370ユーロの料金が私のクレジットカードに請求されることが分かった。やっぱりなあという気持ちと、金額がわかってすっきりした気持ちで、先生に感謝をした。そしてその後、無駄なお金を使ってしまったとまた滅入ることになる。

 

3日後、追加料金が発生することをパスタの先生から聞いた友人(連泊させてくれたかばん職人)が、レンタカーのオフィスで抗議してくれた。返却時に料金の説明をしなかったこと、スペアキーがローマにあったせいで、余計に延長料金がかかったことを主張してくれたが、事態は変わらなかった。キレる友人を、とにかくありがたいという気持ちでみていた。

 

翌日、もう一人の友人の靴職人の子が職場でその話をすると、イタリア人の同僚が納得いかない、俺がなんとかしてやる!ということになり、ふたたびレンタカーのお店にいく。二人がいっぱい窓口で文句を言ってくれたけれど、結局事態は変わらなった。もう本当に充分だと、気が晴れた。

 

その5日後、私はフィレンツェでの滞在を終え、南にむかうことになっていた。連泊させてくれた友人が駅まで見送ってくれた。彼女が大好きだというクッキーと手紙を受け取り、電車に乗る。5か月足らずの滞在だったけれど、その間本当によくしてもらったという気持ちで、手紙を読んだ。先日のレンタカー事件のことも書いてある。「・・・少しですが受け取ってください。」受け取ってください?!封筒の中をみると100ユーロ入っていた。

 

やられた!みんなが延長料金を割り勘しようというのを勿論拒否して、逃げ切ったつもりだったのに、完全にやられた!

 

フィレンツェでは、13万円程度の料理人の月給はいいほうだとされている。パートタイムのかばん職人である友人の、それよりも少ない収入のなかから出してくれたという重みがあった。

留学といっても、人生のリフレッシュの意味を兼ねた私の、酔っぱらった上でのうっかりに、その大切なお金を出してくれた申し訳なさと心苦しさと、男気(女だけど)を感じた。

 あっぱれだなあ、この恩義は忘れまい、と思った気持ちは、今でも褪せていない。

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長々と、退屈で暗い話を書いた。読んでくれる方にとってうんざりするような内容だったかとおもう。私自身、2年半が経ってもまだ振り返りたくない過去で、これまで、その時期の日記(かんたんなメモ書きだが)を読むのも避けていた。

それでも、しっかりと振り返ることで何か変わるかと考えたし、イタリアのインロック事情が誰かの役に立つこともあるかもしれない、とおもい、書き出してみた。

先日既に帰国しているメンバーで集まり、忘れられない思い出、と笑顔で言ってもらったのには救われた。当時もきっとそうなると言われていたけれど、もう何年か経つと、本当にそう思えるようになるのだろう。 

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